かしこい大家さんでも、危険がいっぱい 地盤調査編②
昨日のつづきから。
私は、数年前まで不動産仲介業を営んでいた。
その会社でおきたとんだエピソードだ。
この事件、幽霊事件とともにとても参った事件の一つに数えられる。
ブログをお読みで不動産会社を経営されている方、同じ過ちを犯さないよう注意してほしい。
大きく印刷業を経営しているA社が、自社ビル用地を探しているということで、銀行から土地見つけてくれとの依頼が舞い込んだ。
いろんな条件や場所などを検討した結果、ある土地を紹介してみようと思い立った。
その物件は、田んぼを埋め立て途中の土地であったため、とても値段が安い。
だが国道に面しているため、A社には立地は最高だ。
売主は、現況のままでよければ、この値段でOKだった。
ほどなくして、話はすぐに決まり、約8000万円くらいの売買金額となった。
手数料は約250万円で、私たちも結構な収入だ。
A社はその2年後、自社ビルを無事に立て終わり、私たちは竣工式に招待され、感謝状まで受け取った。
だが、それから3年後、
私の会社に、A社から訴状が届いた。
なんと、建物が沈下をおこしてしまったとのことだ。
だから建物が傾いたのは、仲介業者であるうちが、「重要事項説明を怠ったからだ!」という理由で、約2億円の損害賠償の訴状が届いた。
ビックリだ。(怒)
土地は仲介したが、そのあとどんな建物を建てるかはもちろん知らされていない。
当然、施工しているわけではないので、建物が傾く原因はつくっていない。
ましてや、契約時に、田んぼの埋め立て途中でよければ、この値段(安い)でいいですよ、という条件だったのに。
仲介業者として、口頭であったが、田んぼを埋めたんで、地盤は弱いですよとも告げたのも事実だ。
その後A社は、土木業者を頼まず自分たちで、田んぼに土盛りをしたそうだ。
盛土をして、すぐにビルを建てたので、おそらく圧密沈下を引き起こしてしまったようだ。
それにしても、建物の施工業者を訴えるならわかるが、5年前に仲介した業者まで訴えるとは、ひどいもんだ。
こんな事例で訴えられたら、この先土地の仲介なんでできやしない。
実は、この裁判、工事業者、設計業者、仲介業者、そして売主まで、かかわったすべての関係者が訴えられた。
(最悪)
で、判決結果は?
過失なしでおとがめなし。(当たり前だ)
しかし、4年の歳月を要したこの裁判、4年間2億円の賠償におびえながらの日々は、精神的にきつかった。
そもそも土地だけ仲介した後、A社が設計施工をしたのが2年後。
私たちは、どんな建物を建てるかすら知らない。
また、埋め立て途中の工事はA社自らが盛土工事している。
後から聞けば、A社に対して、設計業者からも地盤調査の結果が悪いというデータを示していた。
にも関わらず、A社の意向で地盤改良工事をしないで、建物を建ててしまった。
で、その結果、建物が傾いたとなったわけだ。
もう、こんな理不尽な裁判を経験したくない。
だから、私たちはいつでもさらされるこうしたケースがら逃れるための契約書をつくることにした。
そして、同時に地盤調査会社を探すことにした。
つづきは またあした