かしこい大家さんでも、危険がいっぱい 地盤調査編②

2010年01月23日
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昨日のつづきから。

私は、数年前まで不動産仲介業を営んでいた。

その会社でおきたとんだエピソードだ。

この事件、幽霊事件とともにとても参った事件の一つに数えられる。

ブログをお読みで不動産会社を経営されている方、同じ過ちを犯さないよう注意してほしい。

 

大きく印刷業を経営しているA社が、自社ビル用地を探しているということで、銀行から土地見つけてくれとの依頼が舞い込んだ。

いろんな条件や場所などを検討した結果、ある土地を紹介してみようと思い立った。

その物件は、田んぼを埋め立て途中の土地であったため、とても値段が安い。

だが国道に面しているため、A社には立地は最高だ。

売主は、現況のままでよければ、この値段でOKだった。

 

ほどなくして、話はすぐに決まり、約8000万円くらいの売買金額となった。

手数料は約250万円で、私たちも結構な収入だ。

A社はその2年後、自社ビルを無事に立て終わり、私たちは竣工式に招待され、感謝状まで受け取った。

 

だが、それから3年後、

私の会社に、A社から訴状が届いた。

なんと、建物が沈下をおこしてしまったとのことだ。

だから建物が傾いたのは、仲介業者であるうちが、「重要事項説明を怠ったからだ!」という理由で、約2億円の損害賠償の訴状が届いた。

ビックリだ。(怒)

 

土地は仲介したが、そのあとどんな建物を建てるかはもちろん知らされていない。

当然、施工しているわけではないので、建物が傾く原因はつくっていない。

ましてや、契約時に、田んぼの埋め立て途中でよければ、この値段(安い)でいいですよ、という条件だったのに。

仲介業者として、口頭であったが、田んぼを埋めたんで、地盤は弱いですよとも告げたのも事実だ。

 

その後A社は、土木業者を頼まず自分たちで、田んぼに土盛りをしたそうだ。

盛土をして、すぐにビルを建てたので、おそらく圧密沈下を引き起こしてしまったようだ。

それにしても、建物の施工業者を訴えるならわかるが、5年前に仲介した業者まで訴えるとは、ひどいもんだ。

 こんな事例で訴えられたら、この先土地の仲介なんでできやしない。

 

実は、この裁判、工事業者、設計業者、仲介業者、そして売主まで、かかわったすべての関係者が訴えられた。

(最悪)

で、判決結果は?

 

過失なしでおとがめなし。(当たり前だ)

しかし、4年の歳月を要したこの裁判、4年間2億円の賠償におびえながらの日々は、精神的にきつかった。

そもそも土地だけ仲介した後、A社が設計施工をしたのが2年後。

私たちは、どんな建物を建てるかすら知らない。

また、埋め立て途中の工事はA社自らが盛土工事している。

後から聞けば、A社に対して、設計業者からも地盤調査の結果が悪いというデータを示していた。

にも関わらず、A社の意向で地盤改良工事をしないで、建物を建ててしまった。

で、その結果、建物が傾いたとなったわけだ。

 

もう、こんな理不尽な裁判を経験したくない。

だから、私たちはいつでもさらされるこうしたケースがら逃れるための契約書をつくることにした。

そして、同時に地盤調査会社を探すことにした。

つづきは またあした 

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鈴木正浩
すずきまさひろ

1961年5月5日生まれ

早稲田大学大学院アジア太平洋研究科国際経営学(MBA)修了。千葉県匝瑳(そうさ)市出身。
29歳で地元千葉において、不動産仲介会社を創業。現在は、アパート管理件数はダントツの2000戸を数える。
2009年12月、独自のノウハウを詰め込まれた著書、「25年間アパートの利回りが下がらない<<超裏技>>不動産投資術」を出版

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